またしてもボツー
ボツりました。
ぴちょん。
――冷たい。
ぴちょん。ぴちょ。
――冷たい!?
「ん!」
がばっ、とウルリカは跳ね起きた。
が、周りは真っ暗やみ。ウルリカが目を擦っていると、横手から低い声がかかった。
「やあ、エルフのねーちゃん。大丈夫か?」
「その声……ドワーフの兄ちゃん?」
「まだ名前言ってなかったっけ? 俺、ボガー」
「ウルリカよ。……で、ここどこ?」
目をしばしばさせているうちに、だんだん目が暗闇に慣れてきた。
どうやら気を失っている間に、どこぞ辛気くさい場所に連れ込まれたらしい。ゴツゴツした石壁と頑丈そうな鉄格子に囲まれた狭い部屋。灯りらしい灯りもなく、ただどこかから差し込んでくる月明かりが、僅かに部屋の様子を浮かび上がらせる。
「……地下牢か何か、か」
「なんで分かるんだ?」
「これよ、これ。うへえ……」
顔をしかめながらウルリカは腰を浮かした。天井から滴った水が床に溜まって、背中とお尻は下着までぐっしょりである。気持ち悪いことこの上ない。
「天井や壁から水が滴ってるでしょ。石造りの地下室は、ああいうふうに地下水が漏れてくるもんなの」
「へええ、詳しいんだな」
「まーね! 尊べ! 敬え!」
「ま、それは置いといてだな」
――置くな。ほめろ。
ぶーぶーと唇をとんがらせているウルリカを尻目に、ボガーはひょいと立ち上がり、地下牢の奥の暗闇に歩み寄っていった。伸ばした手の先もぼんやりとしか見えないというのに、でっぱりや継ぎ目だらけの石絨毯の上を、よくまあ平気で歩けるものである。
「こいつ、頼むよ。ウルリカさん」
「こいつ……?」
言われてウルリカは目をこらす。
ようやく彼女にも見えはじめた。地下牢の一番隅っこに、膝を抱えて丸まっている人影らしきものが一つ。ボディラインからすれば、おそらく女。そして全身にすっぽり布をかぶっているらしいのを見て取ると、ウルリカははっと気付いた。
「あ! さっきの巨人女!?」
「私、巨人じゃないですうっ!」
突如泣き叫ぶように言うと、巨人に変身していたあの女魔術師は、