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2007年03月12日

 ■ イレヴンソウル2巻

「イレヴンソウル」2巻(戸土野正内郎、ブレイドコミックス)を買いました。

 いやもう、これはもうダメだー。1巻の時には、まだ数コマくらい面白い所があったんですが、2巻はそれすらもなし。10年の長きにわたってずーっと戸土野さんを追っかけ続けてきた信者の目から見ても、何一つ面白いところが見つからない……

 しかし、そう思いつつとあるコミュニティを見てみると、絶賛の嵐。毎回安定して面白い、などと言われている。どうもそこの人々は、コミックブレイドに連載されてる方を毎月読んでいるようですので、ひょっとしたら、纏め読みせず一話ずつ読んだら印象も違うのだろうか? と思いました。
 そこで、その視点からもう一度2巻を読み返してみると……

 なるほど。たしかに、個々のエピソードは悪くないけど、それを全く次に繋げられていないのかな? という感覚を受けました。

「イレヴンソウル」(漢字では「十一魂」、縦書きにすると「士魂」になる)の舞台は未来の地球。シャヘルと呼ばれる生物兵器が暴走し、アメリカ壊滅。日本ではオーバーテクノロジーくさいパワードスーツが開発され、主人公たちはそのパワードスーツを駆る「侍」候補として、特殊部隊の訓練を受ける……というお話。

 主人公の少年は、体も貧弱で学もない、あまりにも平凡なヘタレくん。そしてヒロインは最初からなんでもこなせる超エリート。
 でも舞台は熊本じゃありません。
 お話は基本的に、ヘタレな主人公を、なんだかんだ文句言いつつ面倒見るヒロイン、という関係を中心に進んでいきます。

 で、しばらくしたある時、ヘタレな主人公が実は剣道だけは異常に強いことが明らかとなり、ヒロインは初めて主人公に敗北を喫します。普段見せたこともない涙目になって道場を飛び出し、一人でもくもくとトレーニングに励むヒロイン。で、最後には主人公に再戦を挑むんですが、また為す術もなく負ける……というお話が、一話ありました。
 この話単体にしても、ヒロインや主人公の心理とかを絡めてもう少しカタルシスのある描写をすれば、とても面白くなりそうなのですが、とりあえず「主人公実はスゴい」という説明だけに終始していました。まあ、それはともかくとして。

 ここで一度主人公に敗れ、ある種の敵愾心みたいなものを抱いたはずのヒロイン。しかし、次の話以降に、そのことは全く絡んできません。次の話では、主人公は再びただのヘタレに戻り、ヒロインも一度負けたコトなどなんら気にしていない様子。
 要するに、展開が全部その場限りなんですよね。

 ここから次に繋げる方法は、もういっぱい考えられます。
 たとえば、主人公に敗れ、悔しくてつっかかっていくヒロイン。何度かの挑戦の末に、まだ悔しさ交じりながらも、主人公を認める気持ちが生まれる。
 だが次の話でいざ実戦に出動、ヒロインと二人で行動中、敵に囲まれピンチに。そこで主人公は再びヘタレに戻ってしまう。
 が、これまではなんだかんだで面倒みていたヒロインも、今では、それに耐えられない。自分を打ち負かし、心に認める気持ちを抱かされた主人公が、為す術もなくヘタレているのが我慢ならない。そこでヒロインは主人公を叱りとばす。「あんたはウチを負かしたんや! その男が情けないとこ見せんなや!」そして、「思い出せ、あんときの動きを!」とアドバイス。
 それを受けて主人公、がんばる。二人でなんとかその場をしのぎ、もうだめだ! という所で味方の大部隊が応援に駆けつける。「二人とも、よく耐えた! 後は僕たちに任せて!」「た、助かったぁ~」へなへなとなる主人公。それを見たヒロインは微笑み、「ほれ! 撤退命令や。戻るで、相棒」初めて主人公を、「足手まとい」ではなく「相棒」と認めるヒロインであった。

 という感じにすればホラ! 主人公とヒロインの仲が一歩前進するじゃないですか。同時に、主人公が一歩成長したことの描写にもなる。さらに、応援部隊にいる先輩キャラが頼りになるということも描写できるし、なにより戦闘にカタルシスがでる。

 というわけで、なんか一つ勉強になりました。ありがとう、戸土野たん。

投稿者 darkcrow : 2007年03月12日 14:26

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