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2010年08月15日

 ■ [PSP]LUNAR ハーモニーオブシルバースター

タイトル:LUNAR ハーモニーオブシルバースター
メーカー:ガンホー・ワークス(販売) ゲームアーツ(開発)
ジャンル:RPG
発売日:2009年11月12日
ハード:PSP
一周クリアまでのプレイ時間:約20時間

 ゲーム感想第15弾。前にまとめ買いしたソフトがこれで一段落しました! 名作RPGのリメイク版、「LUNAR ハーモニーオブシルバースター」です。


《ゲーム概要》
 このゲームは、ストーリー主導型のシンプルなRPGです。原作はメガCD(メガCDなんてハード、何年ぶりに名前聞いたか!)で92年に発売された「LUNAR ザ・シルバースター」だそうです。
 「ゲージMAX時のみの必殺技」「シンボルエンカウント」「戦闘フィールドにおける距離の概念」など、後発のRPGが培ってきた要素を追加してはいるものの、遊んでみた印象は典型的なコマンド選択型RPGの域を出ません。キャラクターの成長要素も「レベル」と「装備」の2種類のみと、現代の標準的なRPGと比べれば飛び抜けてシンプルなゲームシステムになっています。
 良くも悪くも、ストーリーを楽しむことに特化したゲームである、ということは間違いないでしょう。


《ストーリーについて》
 一言で言うなら、王道アニメです。

 主人公は、過去に世界を救った英雄に憧れ、冒険を夢見る少年。彼はふとしたきっかけで、幼なじみの美少女といっしょに故郷を旅立つことになりました。しばらくの間は各地の事件を解決しながら、後のパーティメンバーたちと出会ったり別れたりしつつ緩やかに話は進行します。
 しかし中盤で転機が訪れます。幼なじみの少女が、突如出現した悪の親玉にさらわれてしまうのです。一時は失意のどん底に落ち込む主人公ですが、やがて、これまで出会った仲間たちとともに、悪を倒し幼なじみを救い出すべく立ち上がるのでした……!

 これでもかっ! これでもかっ! えいっえいっ! というくらい王道です。
 最後の最後まで、こちらの期待を裏切ることなくベッタベタな感じでストーリーは展開します。

 特筆すべきは、キャラクター描写が抜群に丁寧なこと。
 やや極端めな性格のキャラクター(といっても、アニメのキャラ付けとして見るなら標準的なもんでしょうが)たちが、台詞の一つ一つで生き生きと動きます。
 メインストーリー中の会話シーンはもちろん、街の人たちとのちょっとした会話の中にも、キャラクターたちが感想を述べたり街の人に返事をしたり、そういうやりとりがきちんと詰め込まれています。その膨大なテキスト量によって、キャラクター描写を成立させているのです。
 もちろん、そんなんどーでもいい、キャラ描写なんてうざったい、と思うプレイヤーは街の人たちと会話をしなければ済むわけで、このあたりの任意性はRPGならではです。

 序盤~中盤にこの丁寧なキャラ描写で愛着を持たせておき、中盤の転機からあとは怒濤のように盛り上げていく、という構造がうまいことできていると思います。


《ゲームシステムについて》
 残念ながら、特筆すべきことが何もありません。
 単純なレベル制、装備品による自己強化、レベルアップで覚える魔法や技など、どこを見てもどこでも見られるような要素ばかりで、良く言えばシンプル、悪く言えば何も考えていない、という印象しかありません。

 そんなんでも、きちんと遊びやすく作っていてくれれば、別段文句はなかったのですが……
 詳しくは次の項目にて。


《リメイクに伴う問題ついて》
 はっきり言ってしまうと、全体としてこのゲームに好印象を持っていないのですが、俺が推測するにその原因はリメイク時の変更・追加点にありそうです。
 不満点を列挙してみると、

・ロードが長い
 マップ切り替えのたびに3秒。街の中で家に出入りするだけでも3秒。エンカウントでも3秒。おかげで、せっかく作り込まれた街の人の会話を聞きに行く気が、途中から失せてしまった。

・シンボルエンカウントが鬱陶しい
 シンボルエンカウントの意義は「能動的に(ある程度)エンカウントを制御できる」点にあると思うのですが、敵シンボルの移動速度が主人公と同じ&ぴったり追いすがってくる&マップが狭い、の3点によって、エンカウント回避はほとんどの局面で不可能。むしろマップ切り替えるたびに敵が復活して、その都度全員と戦闘になるため、戦闘回数が無駄に多く感じられる。宝のある小部屋への出入りとか最悪……

・主人公の移動速度が遅い
 遅いです。そしてダッシュ機能とかもないです。恐らく、シンボルエンカウントを回避できなくするためではないかと思われます。

・無駄なウェイトが入る
 特に戦闘において、いちいち無駄にウェイトが入ってテンポが悪くなります。
 技を発動してエフェクトが出始めるまでに1.5秒、誰かが技を出し終えて次のキャラが動き始めるまでに1.5秒、ターンが終了して次のターンのコマンドが出るまでに1.5秒、一人のコマンドを選択して次のキャラのコマンドが出るまでに1秒、戦闘が終了して全員が決めポーズを取るまでに2秒、決めポーズを取ってからリザルト(経験値とお金)が表示されるまでに1.5秒ッ……!
 いらいらするー!! さっさとせんかぁー!! って感じです。

・戦闘が単調
 今回、リメイクにともなって戦闘バランスが調整されているそうです。
 原作よりだいぶ簡単になっているそうで、おかげで、ザコ戦闘は全体魔法連発(中盤以降は全体即死魔法連発)、ボス戦闘は毎ターン全体回復&単体攻撃技連発、以外にすることがありません。
 いちおー、状態変化技や防御力アップ技なんかもあるんですが、状態変化は効かないし、敵の怖い攻撃は全部魔法扱いなので防御力意味ないし……

・最初の追加イベント
 今回のリメイクで、ストーリーの最初に「過去の英雄たちがラスボスと戦うシーン」が追加されているのですが、これがまたひどい。こちらは何も知らない状態だというのに、意味不明の単語を並べて(そりゃふつーは、それまでのストーリー中で一つ一つ説明するもんでしょうが)ラスボスっぽい会話をして、いきなりラスボス戦。しかも英雄たちは無敵状態で、てきとーにやっていても必ず勝てる。
 そんな意味不明のイベントに付き合わされること、実に20分。その間、プレイヤーはほぼ操作不能。この時点でやめようかと思ったくらいでした。 
 しかも、なんかこの冒頭のシーンの中で、本編のラスボスの正体ネタバレしてるし……! あれで隠したつもりなのか! 予備知識ゼロでも一発で分かったわ! ……痴れ者め!!(開発スタッフへの暴言)


《総評》
 ストーリーに特化したシンプルなRPGです。そのストーリーは王道で、キャラクターにも魅力があり、描写も丁寧で好感が持てます。このあたり、さすがに名作と呼ばれただけのことはあると思います。
 ただ、現代のRPGとしては若干苦しいレベルにあるシステムのシンプルさと、何より、長すぎるロードや鬱陶しすぎる戦闘時のウェイトによって、ストーリーの良さを存分に味わえなくなってしまっています。
 ストーリー重視のRPG好き、王道好き、アニメ好き、微エロ好き、上記の欠点を許容できる人、にはオススメできますよ。

投稿者 darkcrow : 2010年08月15日 23:03

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