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2010年10月03日
タイトル:世界樹の迷宮
メーカー:アトラス
ジャンル:3DダンジョンRPG
発売日:2007年1月18日
ハード:DS
一周クリアまでのプレイ時間:プレイ時間が記録されないため計測不能。おおよそ50時間程度だったと思われる
ゲーム感想第18弾。アトラス(買収されちまいましたが……)のウィザードリィライクRPG、「世界樹の迷宮」です。変換するたびに「世界中の迷宮」になってしまいます。
《ゲーム概要》
冒頭でも述べた通り、このゲームはウィザードリィ型のダンジョン探索RPGの体裁をとっています。
拠点となる街でパーティを組み、装備やアイテムを整え、ダンジョンに潜る。ダンジョン内では一貫して主観視点で、一歩ずつ行動範囲を広げながら、ダンジョンの最奥を目指す。
難易度は現代RPGの水準から見れば高めですが、プレイした感覚では最初が一番キツく、中盤あたりでほどよい歯ごたえになってきて、終盤ではむしろヌルめのバランスになっているようです。
《マップ作成》
このゲームの最大の特徴は、「タッチペンを使ってダンジョンマップを自作する」という機能があるところです。DSの下画面はマップ専用になっていて、プレイヤーはそこに「壁」「床」「マップアイコン」などを自由に書き込んでいくことができます。
ゲーム側から自動的に記入されるものは、PCの現在地を示すアイコンと、ごく一部のマップアイコン(5階につき2カ所ずつくらい登場します)のみ。あとは何をどう書くのもプレイヤーの自由。マップアイコンは一応「宝箱」「ワープゾーン」などの意味が設定されていますが、別にそのとおり使わなければいけないわけでもありません。その気になればドット絵描いて遊ぶこともできます。(遊ぶな。)
要するに、「デジタル方眼紙とペンをあげるから、あとはてきとーにどうぞ」なのです。
闇鴉が考察するに、「世界樹の迷宮」は、このマップ作成をコンセプトとして構築されたゲームではないかと思うのです。
このゲームの目的は、「ダンジョンの踏破」です。その奥にいるボスを倒すことでも、何かの宝を取ってくることでもなく、ダンジョンそのものが目的として設定されています。そして、「ダンジョン踏破の進行度」を示す象徴として、「ダンジョンマップ」が存在しています。
未記入のマップが象徴するとおり、ダンジョンの未踏部分は、いわば全くの「暗闇」です。そこに「踏み込み」、地図として記録することで暗闇を「切り取る」。この流れこそがこのゲームのコンセプトであり、特徴であり、最も楽しいところなのです。
明るい言い方をすれば「探検」のゲーム、暗い言い方をすれば「侵略」のゲームであるわけです。
未踏部分すなわち暗闇は「危険」でなければなりません(暗闇でも、安全だと分かり切っていれば、わざわざ踏み込んで解明する意味がありませんから)。特に序盤における高い難易度、全編通して登場するFOE(ダンジョン内を徘徊する強力な敵。マップ上に見えていて、追いかけてきたりする)などは、そのために必要だったから用意されたもの。
危険に挑むには手段が必要です。RPGらしいキャラクター作成と成長は、その手段として用意されたもの。
危険を乗り越えた先には報酬が必要です。ダンジョン内から持ち帰ったアイテムで新しい武器防具が手に入るというシステムは、その報酬として用意されたもの。
「探検」をベースにして見てみると、全てのゲームシステムが一つに繋がっていることが解ります。
つまり、ウィザードリィライクRPGという体裁は、「探検」というコンセプトを実現するための手段に過ぎないわけです。
この独特のコンセプトは、「全滅したら前回セーブしたところからやり直しだが、ダンジョンマップだけは残せる」という、一見へんてこな救済措置からも見て取れます。
要するに、集めたアイテムや溜めた経験値はしょせん手段に過ぎないわけで、失われても問題はない。ただ、「ダンジョンを踏破する」という大目的への進行度だけは、失われることなく残せるよ、という意味なのでしょう。
《キャラクターの作成と成長》
このゲームのキャラクター作成は、はじめに「職業」を選び、その後はレベルアップごとに手に入るポイントを消費して「スキル」を取得していく形式になっています。
俺が今までにやったゲームの中では、「ラグナロクオンライン」にかなり近い形式です。もっと言えば、F.E.A.R.のTRPG全般(「トーキョーN◎VA」や「ブレイド・オブ・アルカナ」などなど)に近い形式なのですが、まあこれは言っても通じないか。
職業は最初に決めたら固定で、転職などはなし。能力値も職業毎に固定です。
作成後の成長においては「スキル」の選択のみが自由度となるわけですが、スキル選択の幅はかなり広く、最高レベルまで育てたとしても全スキルの半分も取ることができません。その代わり、一つ一つのスキルはかなり強力な効果を持っていて、他のスキルや、他の職業との組み合わせによってさらに高い効果を発揮するよう考えて作られています。
プレイヤーはパーティ全体のバランスや、戦略を見据えて、各キャラクターの取得スキルを選んでいくことになります。
スキルの選択によるパーティ構築はなかなかに楽しく、「次はどのスキルを取ろうか?」というのでかなり悩まされます。また、先述の通りスキル一つ一つの効果が大きいので、顕著に結果が見えてくるのも嬉しいところです。
キャラの成長はわりとあっさり頭打ちになるようなので(最大レベルは70ですが、俺は普通にクリアした段階でみんなレベル65まで行ってました)、クリア後は色々コンセプトを持ったキャラを作っていく方針で楽しめそうにも思えます。俺はやらないけどね! 時間がいくらあっても足りないし。
《総評》
「探検」に焦点をあて、コンセプトに忠実に全ての要素を配置しきった良作RPGです。その難易度の高さやストーリーの希薄さ、絵柄の嗜好などで好みが別れるところだとは思いますが、システム的にはキッチリ最後まで楽しめるだけの完成度があります。
探検ずき、RPG好き、地図書くの好き、キャラ育成好き、かわいい絵柄好き、育成にかけた数時間が失われても耐えられる人、などにはオススメできますよ。
《追記》
なんだか、追記が「感想本文に書くわけにはいかなかった個人的感情をぶちまけようのコーナー」になっている気がする。
というわけでぶちまけます! 面白かったのは面白かったんですが、どうしても好きになれなかった部分があるのです。
それは、ゲーム全編を通して使われている、このフレーズ。
「君たちは~~してもよいし、しなくてもよい。」
ドラクエなら、「~~しますか? はい/いいえ」となるところに、全てこのフレーズが使われています。というか、一般的なRPGなら、だいたいドラクエを似たようなもんですよね。特別こだわるようなところでもないし。
わざわざこんな独特の言い回しを使っているからには、そこに込められた意図があるわけです。
普通に考えて、その意図とは「多様性の許容」です。
時代ってことなのでしょうが、「多様性の許容」というところに見いだされる価値が、どうやら現代においては主となっているようです。(「カラーバリエーション」とかが人気を集めるゆえんですね)
ゲームにおいても、プレイヤーの選択の自由という形で、それは表現されます。つまり、このフレーズ通り、開発者(というか、ゲームを支配し運営する理想上の人格。TRPGにおけるゲームマスターだが、この場合はソフトそのものというほうが近いだろうか?)は、プレイヤーに対してこう言っているわけです。
「こっちから選択肢を用意しましたよ。さあ、好きな方を選んでください。どっちを選ぶのもあなたの自由なんですよ」
うっさいわぼけ。
別に俺自身も、多様性の許容が嫌なわけじゃなく、むしろ好きです。ですが、それをこう強調されると、押しつけがましいなあと思ってしまうのです。
このいらつきは、本文中にも出たF.E.A.R.のTPRGで、「ROC」の表記を見たときににたいらつきに似ています。ROCとは「ロール・オア・チョイス」の略。キャラクターの出身なんかを決めたり、初期職業や、初期所持品を決める表があるわけなのですが、そうした表にことごとく「ROC」の表記がくっついているのです。
その意味するところは、「君はサイコロを振って決めてもよいし、自由に一つを選んでもよい」
ンなこと言われんでも、こっちで勝手にやるわい。という気持ちになったものでした。
というわけで、まとめ。ゲームにおける自由度や多様性というものは、重要な要素であり、必要とも言える。
ただし、それらはあからさまであってはならない。プレイヤーが気づきもしないうちに、いつのまにか多様になってしまっているのが望ましい。
まあ、それでゲームの面白さを全て否定してしまうほどのものでもないんですけどね。
投稿者 darkcrow : 2010年10月03日 16:48
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コメント
どうもお久しぶりです、AREXです。自分のことなぞ覚えていらっしゃらないかもしれませんが、つい懐かしさのあまりコメントを投稿してしまいました。
以前にサイトを閉鎖されるとの告知を見たときは驚きましたが、その後サイトを再開されたのですね。
でも、もう小説をお書きになっておられないようで、少々寂しいです。以前のサイトを閉鎖されてから数年が経ちますが、時間が経つのは早いものだな、と感じてしまうのは、年をとった証拠なのでしょうかねw
私は今は、もうAREXというHNを使っていません。代わりに今は「雑兵」という名前で活動しておりまして、RAVENWOOD(旧ACwiki)の方に細々と小説を投稿しております(といっても最近は書いていないのですが) しがないアマチュアの物書きの身ですが、以後お見知りいただければ幸いです。
さて、あまり長々とコメントを書き続けるのもあれなので、この辺でお暇いたしますね。お体にはお気をつけて。
投稿者 AREX(雑兵) : 2010年10月22日 22:21