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2013年03月09日

 ■ 「世界の壁」

「世界の壁」

 世界が誕生したとき、すでにその壁は存在していた。そしてそれから一度も破壊されることなく壁は今も世界の四方八方を塞いでいる。ゆえに住人は誰一人として、壁の外側を見たことがない。初めのうちは、なんら問題なかった。というのも世界は充分に広く、ただ生きていくぶんには世界の果てなど意識する必要がなかったのだ。ところが住人が成長し、力を持ち、動き回るようになると、とたんに壁は存在感を増した。この壁を破壊した先には一体なにがあるのだろう?
「壁の存在意義は」と住人の一人が言う。「隔てること、守ることだ。考え方は二つある。一つ、壁は我々を外界から守っている。二つ、壁は外界を我々から守っている……」
「もし後者だとすれば」別の住人が言った。「外には我々が頂戴すべき宝があると考えられる。それを見過ごすのは損ではないか?」
「だが」最後の住人は言うのだ。「もし前者なら?」
 そして世界の壁は、今もそこにある。

お題:空前絶後の外側 必須要素:400字以内 制限時間:30分

投稿者 darkcrow : 2013年03月09日 02:18

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