大会レポ「Wing大阪 冬の陣」
むかーしむかしのある所に、飛弧という対人経験の薄いレイヴンがいました。
対戦欠乏症の飛弧は、いつも「対戦したいなぁ、対戦したいなぁ」と、ネットを徘徊しながら思っていました。
そんなある日、自分の住んでいる大阪に、大会があるということを知りました。
飛弧は一瞬の迷いもなく、大会出場のメールを送り、一心不乱にロケットの練習を始めます。
そして当日、午前九時ごろ家を出て、千里丘まで電車で行きました。
目的の駅に着いたとき、飛弧は自分以外のレイヴンが見当たらないので、日にち間違ったかなと焦燥に駆られました。しかし、MBSと「ばんぱー」に書かれたバスへ乗り込む若者達を見かけて、ほっと胸を撫で下ろしました。
バスの中では、もう既にAC大会名物「AC講義」が行われていました。飛弧は手持ちの文庫本を読みながら、飛び交う理論を小耳に挟んでは、「よくそこまで考えるな」と感心していました。
暫くして、十人のレイヴンを乗せたバスは、放送文化館へと辿り着きました。
入り口を潜ると、人の良さそうな中年女性と、気前の良さそうな日本男児が、会場へと案内してくれました。
そして、受付でトレントさんに参加費を支払い、ハンドルネームを書き……いや、ハンドルネームと「コメント」なるものを書かなくてはいけないようです。
何も予想していなかった飛弧は戸惑いました。しかし次の瞬間、思いつきで、その空白を埋めていました。
漢、修行中――今思えば、漢の後に「、」ではなく「@」を付ければ良かったな。と、後悔しています。
そんなこんなで、飛弧は大会開始までフリー対戦を始めました。
対戦では、ロケモン・98式・漢という、主にネタ機体を使用しました。
そして大会が始まり、飛弧の名前が呼ばれました。
今年最後の大会、第一戦はリペアラーさんとの戦いです。
ステージはジオ本社前でした。多少知らないステージであっても、飛弧の気合は充分です。
そうこうしている間に、戦いは始まりました。
開始直後、ビルの間に身を隠した飛弧は、ゲリラ能力がいきなり開花して、イイ感じに相手を追い詰めていきます。しかし、相手は人間です。やられてばかりではありません。
2000ほどリードしていた飛弧は、調子に乗って相手の陽動に掛かってしまいました。2000の差は「両腕筒ミサイル+連動ミサイル」によって、あっという間になくなりました。更に飛弧は、相手を逃がしてしまうという失態を犯してしまいました。この場合、OBで相手を追うのが普通ですが、焦った飛弧にそんな事思いつく筈は無く……。両筒ミサイルでやられてしまいました。
飛弧はすぐに立ち直って、対戦台へ足を運びました。
対戦台は意外と空いていました。
飛弧は腰を落ち着けると、お一人様二戦交代で戦いました。
途中で昼食を取り、更に対戦。
その結果、二つの真実が浮かびます。
一つ目は、自分はブレードが相当強いということ。
二つ目は、ネタ機体の方が勝率良いこと。
一つ目はともかく、二つ目が解った時は、何だか切なく思いました。
気付けば、メイントーナメントも決勝戦でした。
最後はどうやら、主催者対決だったらしく。影さんとトレントさんが激闘していました。結果は二勝一敗で影さんの優勝でした。
優勝商品のマップカードを授与されていた影さんを見て、飛弧は無謀なことを思いつきました。……持病の強者対戦症候群です。
即断即決即行動に基づいて、飛弧は難なく了承を得ると、四戦ほど戦いました。勝負は火を見るより明らかでした。四戦全敗です。
しかし、ただでは転ばない飛弧は、長距離空中浮遊の謎を教えてもらいました。
その後、丁重にお礼を言って、飛弧はアセンを変えにいきました。
三時半ごろまでACをやった後に、一つのテレビで某起動戦士DXをやっているのが目に付きました。ACであまり芳しくなかった飛弧は、DXをやらせてもらいます。その戦果があまりにも良かったので、本職変えようかなと、本気で思ってしまいました。
そして、一戦だけACやっていこうかなと思っていた矢先、終了の合図が掛かりました。やはり、楽しい時間は早く過ぎてしまうものなのです。飛弧は己の欲望を押さえ込み、片付けを手伝いました。
飛弧は帰りの電車の中、「あべしっ」と斬った、あの感覚を思い出し、「やっぱり、対戦はおもしろいなぁ」と、余韻に浸って帰ったとさ。めでたし、めでたし…………。