アーマード・コアZERO
地球歴180年。
人々が悲しみに湧いた―――――
大破壊。
地球の75%を破壊しつくした最大の悲劇。
その被害を逃れた人類、わずか20%―――――
そのわずかな人類達は安息を求めると共に、新たな大地を求めた。
新たな大地・・・・
月面である。
地球から最も近い「もう一つの大地」。
わずかな希望と共に人々は月面へと向かった。
人類の存続を賭け。
その言葉を胸に秘めながら―――――
しかし―――――
そこは人類が足を踏み込んではいけない「領域」だった―――――
月面 第一地域 コバルトシーズ
―これより、ムーン=アリーナを開始します。両者、配置についてください―
月面の白い大地に佇む数体の二つの巨体。
完全戦闘用人型兵器、「アーマード・コア」、通称「AC」である。
ACとは「レイヴン」と呼ばれる傭兵のみが使用することを許された戦闘兵器。
全身のパーツを完全換装可能、完全に規格化された汎用兵器である。
それに搭乗を許される傭兵、「レイヴン」。
ネットワークを介して提示される様々な依頼を報酬によってのみ遂行する。
如何なるモノにも束縛されない、完全な自由意思で生きる者たちである。
―今回の対戦者はCランク1の「シヴァ」とBランク9の「アグニ」です。
「シヴァ」にはランクアップがかけられる試合です、では、お楽しみください―
コバルトシーズ付近の建物には多くの人混み。
その建物に流れていたアナウンスが終わると二体のACのデュアルカメラに光が灯る。
そして二体のACのブースターが点火し、縮めていった。
そして―――――・・・・
EPISODE1
―始まりの詩―
月面 第二都市 メックウォール
「“シヴァVSアグニ!、勝負はシヴァの圧勝!”、かァ。
オレも見に行きたかったな〜、シヴァのアリーナ戦!」
一人の学生が新聞をいっぱいに広げ、その記事を見ていた。
それは昨日、月面で行われていたシヴァ対アグニのアリーナについての記事。
勝利の軍配はシヴァに上がったらしく、各新聞はその話題で持ちきりになっていた。
シヴァとはアリーナデビュー以来、無敗のまま勝ち進んできたレイヴン。
戦場を閃光の如く駆け回り、破壊神を思わせるような攻撃で敵機を破壊する。
まさしく破壊神「シヴァ」を冠するに相応しいレイヴンなのだ。
しかも依頼の全てを100%成功させるほどの実力をも持ち合わせている。
企業からもアリーナファンからも注目を集めているレイヴンである。
しかし、それをよく思わない人物が一人、この学生の身内にいる。
それは・・・・
「何がシヴァよッ!!、
ただのリバイバーの化け物じゃないッ!!」
ピンクのかかったロングヘアーの学生、この男子生徒と同じぐらいの年齢だろうか。
分かることはシヴァを酷く険悪していること、それだけである。
「あのさぁ・・・・」
「何よッ!?、ルディンなんか文句ある!!?」
ルディンという少年の言葉にも強い口調で言い返すその少女。
相当いらだっているようだ。
「あの・・ルナさァ、リバイバーだからなんだって言うの止めた方がいいよォ?
だってさぁ、ルナの好きな歌手とかだってリバイバーの時あるしさぁ。
一回死んだ人間だからってそうするのはちょっとねぇ・・・・」
「リバイバーだからどうって言うことじゃないの!!
レイヴンよ!?、レイヴン!!
結局飼い犬みたいなもんじゃない!!?」
相当シヴァ、いや、レイヴンを険悪している少女、ルナ。
彼らが言うリバイバーとは今で言うクローン人間のこと。
過去の大破壊に死んでしまい、現代の医学で復活した人種。
それをリバイバーという。
「それに今ルナの友達がリバイバーだって言うのもあり得るんだよ?
もしかしたら、オレだってリバイバーかも知れないしさぁ?」
「あんたは絶対リバイバーじゃない。」
「ハァッ!?」
「だってあんたみたいなバカが昔生きてたわけないじゃない?」
ルナのその一言に頭を打ち抜かれたルディンはその後何も言い返せず固まっていた。
そんなことを知る由もなく、立ち去ってしまうルナ。
月面都市 ムーン=アリーナ会場
―決まったァァァァッッ!!!!!!
我らが英雄、ディアボロス!!!!
キングの座を防衛ィィッッ!!!!!!―
巨大なドームの内部に佇む二体のAC。
いや違った、一体はすでに鉄くずと化し、煙を立ち上げ沈み返っている。
それを見下ろすように仁王立ちする漆黒のAC。
ムーン=アリーナ内で「キング」の称号を持つ最強のレイヴン、
「ディアボロス」の駆る「ブラットキングス」である。
―またも勝利の英雄、ディアボロス!!、最後に一言お願いします!!―
ACから降りたのはまだ少年のレイヴンであった。
マイクを差し向けられた少年は慣れたように・・・・
―力を持てッ!!、力を持たない人間などクズだッ!!
見たろう、あのレイヴンを!!
力を持たぬが故の結果がアレだ!!
力を持ち、他人を蹴落としてこそ人間!!
ならば力を勝ち取り、自分自身を証明してみろ!!!!―
ディアボロスのその演説が終わると同時にアリーナ内の観客が一斉に沸きかえった。
国民から「英雄的存在」と指示されているレイヴン、ディアボロス。
その考えは間違っているか否か。
しかし人々はその「英雄」の戦いにただ酔いしれ、魅了されていった。
月面 第二都市 メックウォール スクール寮
その一室にはルディンと数名の生徒、そしてルナがいた。
ルナとルディン以外は皆テレビに釘付けになっている。
何を見ているか?、それはディアボロスのアリーナ戦。
つまり先ほどの試合である。
「いっやァ〜!!、やっぱディアボロスの言葉には説得力あるなぁ!!」
「それにディアボロスってレイヴン、結構美形じゃない♪
惚れ惚れしちゃうな〜♪」
「お〜いルディン!、お前アリーナ見ないのカァ!?
次の試合始まるぞォ!?」
一人の少年が部屋の壁により掛かっているルディンに声をかける。
すると・・・・
「ほっといてくれ!!、ちっと機嫌悪ィんだ!!」
「ヘェ〜珍しいねェ、んじゃあルナはァ?」
「私はアリーナは見ない!!、特にディアボロスの試合は!!」
二人そろってアリーナは見ないと答えるルディンとルナ。
そして・・・・
『とにかくオレ(私)は、ディアボロスが嫌いなんだ(の)!!』
二人の声が微妙に重なる。
それを「珍しいもんだ」と見ているか否か。
そんな感じの視線が二人に向けられた。
すると・・・・
ピー♪
ケータイの着信音だ。
ルディンはすぐにケータイを取り出し、画面に目を向ける。
そこには「依頼が入った」と言う一言だけ。
いたずらメールか?
こんなメールを受けたらそう考える人の方が多いはずである。
しかし、それを見た瞬間、ルディンの目は一気に冷たいモノへと変わった。
そしてなにも言わずに部屋を出ていくルディン。
手には一枚のディスクだけが握られていた―――――
月面 第二都市 トライアルスコア
「お、来たなルディン。」
「悪ィ、ちょっと遅れた。」
胸に竜を思わせるようなエンブレムが張り付けられたジャケット。
ルディンはそれを着用し、片手にはヘルメットが握られていた。
彼が向かったのはトライアルスコアと言う施設。
巨大な工場を思わせるその中には数体のACが配備されていた。
中量二脚から逆間接、武器腕装備のACと様々だ。
そして一体のACに寄りかかりながらルディンに言葉を投げかげる一人の青年。
二十歳前後だろうか、百八十弱の眼鏡をかけた銀髪の男。
どうやらルディンはその青年と知り合いらしい。
「っで、今回の依頼は?」
「ハイン=ライン第二支部の強襲。AC、MT部隊も所持しているので注意、だと。
単純なもんだろ?、このくらいな?」
「あぁ、この程度なら朝飯前だよ。」
ルディンは青年にそう言うと、リフトからそのACのコックピットに乗り込んだ。
続に中量二脚に分類されるそのAC。
コア先端から伸びた機銃のようなモノはミサイル迎撃機銃と呼ばれるモノである。
その上部、胸にあたる部分は白い光沢を帯びて輝いていた。
そして中央部にはルディンの着ているジャケットと同じエンブレム、
竜を象ったようなエンブレムが張り込まれていた。
彼もその一人なのだ、レイヴンという傭兵の中の。
その頃ルディンはコックピットの中で離れたような手つきでキーボードを弾いていた。
頭部、腕部、脚部、肩武器、エクステンション―――全て異常はない。
―どうだ調子は?―
コックピットの内部に青年の声が響く。
ルディンはマイクをヘルメットから取り出すとすぐに言い返した。
「どこも問題はない、いつでも出撃できるぞ。」
ルディンは自信を持った表情でそう言うと、モニターの電源を入れた。
モニター類に光が灯る。
薄暗かったコックピットの中が一気に彩られていった。
―分かった、ルディ・・・・いや、違ったな―
「?」
青年はルディンの名を言おうとしたが、何を思ったのか、言い止めてしまう。
その青年の行動に首を傾げるルディン。
そして青年は・・・・
―今のお前は「ルディン」じゃなく「シヴァ」だったか―
「・・・・ま、そうだな。」
ルディンは小さく笑うと、青年に言い返した。
そして無線の電源をOFFにする。
「シヴァ」、破壊神と呼ばれたレイヴン―――
その正体はルディンだった。
・・・・これに驚くか否かは各々に任せよう。
だがこれだけは知っていていただきたい。
ルディンは、「自分」を偽って生きてきたと言うことだけは―――――
あとがき
やっちまったよオレ!!!!!!
え〜いきなり爆発してスミマセン。
何をやったかと言えば完全「オリジナル」の世界をやってしまったこと、
AC2、3が出ているって言うのに「ZERO」なんてタイトル付けたこと、
何より、こんなモノ送ってしまったこと。
後悔にまみれながら沈んでいきそうだ・・・・
そんなわけで次回も宜しくお願いします。
次回は・・・・多分戦闘シーン有(ェ)。